北海道大学文学大学院 文学院 人文学専攻 文化多様性講座 人類学研究室

お問い合わせ
画像1 画像2 画像3 画像4 画像5

新着情報・お知らせNews & Topics

2021.04.15
2021年度時間割はこちら
2021.02.09
第2回 卒論・修論・博論合同発表会(2/20開催)のご案内
詳しくはこちら
2021.02.04
学位論文を更新しました。
2020.12.24
学生紹介を更新しました。左のブログ記事もご覧ください。
2020.05.12
トップページに緊急メッセージを掲載しました。
2020.02.19
外国から本研究室への留学(研究生・大学院受験)を希望される方は、まず国際交流室にお問い合わせください。詳しくはこちら
2020.02.08
北海道地区の大学で今年提出された文化人類学系の卒論・修論・博論合同発表会を開催しました。詳しくはこちら私たちの研究室からは4名が発表しました。
2020.02.06
第2回履修コース説明会(1年次学生対象)を開催しました。
2019.06.25
7月13日、文化人類学研究室が企画する、院生と学部生による「合同フィールドワーク マタギキャンプ2019」を開催しました!
2019.04.1
文化人類学研究室がスタートしました。

研究室の紹介Introduction

文化人類学教室 教授 小田 博志この星の多様な文化を、身をもって知る。
私たちのあたり前を問い直し、別の世界を構想する。

 人類が地球に誕生し、さまざまな自然環境で暮らす中で、多様な文化が育まれてきました。 文化人類学とは、この自然と結びついた文化の多様性を、研究者が身をもって体験し人類とは何かを明らかにしようとする分野です。これを学ぶことで、幅広く多面的な視野と、現場調査(エスノグラフィー/フィールドワーク)の方法を身につけることができます。

  北大文化人類学研究室は、それぞれの学生・研究者の独自な関心を尊重する、自由で創造的な探求の場です。そして異なった立場の人たちとの対話の場を開きます。この新しい研究室の扉をぜひ開いてください。      (研究室主任・小田博志)

緊急メッセージ ー 新型コロナウィルス感染症と文化人類学  

 ひとつの病気が世界をみるみるうちに変えていっています。2019年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)です。これは世界的に感染拡大をするパンデミックであり、各国が緊急事態宣言、国境封鎖、都市封鎖(ロックダウン)、外出自粛(ステイホーム)、休業要請、そして社会的距離などの防止対策を打ち出し、人々の生活は大きく影響を受けています。私たちが所属する北海道大学も教職員と学生にキャンパスへのアクセスを制限し、2020年度第1学期の授業は教室ではなくオンラインで実施することになりました。本来であれば対面の授業、新歓コンパやサークル活動などでお互い知り合って、新しい学生生活がスタートしている頃かと思うと、2020年度の学生の皆さんには申し訳なく思います。私たち教員は、この制約の中で、最善の授業が 提供できるよう努力をしています。もし何か困ったことがあればいつでも相談してください。
 「コロナ危機」と呼ばれるほど、これは深刻な事態です。しかしそれだけでなく、私はこれを好機(チャンス)でもあると考えています。この目に見えないほど小さなウィルスは、人類とその文明に対する大きな問いだ、とも言えます。なぜならCOVID-19は、近代文明とその延長であるグローバル資本主義を問い直すものでもあるからです。この病気は森林破壊によって住みかを失ったコウモリから他の動物を介して人に移った「人獣共通感染症(zoonosis)」である可能性が指摘されています。そしてそれは飛行機によるグローバルな人の移動によって世界的に拡散しパンデミックになったわけです。さらにCOVID-19をはじめとする一連の新興感染症は、地球温暖化によって起こりやすくなると警鐘が鳴らされています。そのようにCOVID-19はグローバル化の帰結でありながら、そのグローバル化に急ブレーキをかけました。これまで拡大する一方だった国境を越える人の移動と温暖化ガス排出を伴う経済活動を、人類は制限せざるを得なくなっているのです。この病気が発生する前を思い出してみましょう。グローバル気候変動は人類の存続を脅かすと警鐘が鳴らされていました。その要因である経済活動が抑制されている「隙間」のようなこの時期こそ、これまでのようではない世界を私たち自身と将来世代のために根本的に構想し、生み出していくための好機と言えるのではないでしょうか。
 文化人類学は長らく「近代」社会の外に出て、多様な社会のあり方を調査し、その外の視点から近代を相対化してきました。近年では、「近代化された」社会の中でフィールドワークを実施することも盛んになってきています。その際にも、近代の自明性を問い直すという姿勢は貫かれています。自然と人間を分離し、自然の収奪と破壊を続けながら経済成長を追い求める――その至り着いた先がグローバル気候変動とCOVID-19でした。そのような近代文明を根底的に問い直し、それとは違う「もうひとつのこの世」(石牟礼道子)を構想するために、文化人類学のこれまでの蓄積と姿勢には大きなアクチュアリティ(今日的意義)があるのです。ここで文化人類学の方も、その近代的な前提である「自然/文化」の分離と人類中心主義を振り返り、自然の中に人類を位置づけ直す、古くて新しい枠組みへと脱皮することが必要です。コロナ後に求められているのは、人類を含む多様な「生類」が共に生きることができる世界ではないでしょうか。私たち北大文化人類学研究室は、そのような世界とつながる研究に取り組んでいきたいと思っています。

2020年5月12日(2021年2月18日修正)

小田博志