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- 2020年度卒業論文要旨
森野 真未
人が集う場所 スターバックスコーヒー店から考えるサードプレイスとは
【キーワード:サードプレイス、スターバックス、カフェ、グローカル、観光地】
本論文では、札幌市と函館市にあるスターバックスコーヒー店5店舗を主な調査地として、スターバックスコーヒー店が提唱するサードプレイスの具体的な機能と現代社会への影響を店舗構造や店舗の種類から分析して紐解いた。
第2章ではこれまで定義されているサードプレイスや、グローカリゼーションの先行研究を整理した。サードプレイスの従来の定義とスターバックスが提唱しているサードプレイスは一致するのか、世界展開している外資系企業とスターバックスが行っている展開の方法の違いを見つけ、スターバックスが実際にどのように社会に溶け込み、利用者にどのような影響があるのかを具体的に示すことを本研究の意義とした。
第3章ではスターバックスの歴史や経営理念をホームページやシュルツの自伝から読み解き、第4章で本研究の調査地である北海道におけるスターバックスコーヒー店の歴史や調査方法を説明した。第5章は調査結果を写真と共に述べた。
第6章では、併設型スターバックスの①他と分断された空間、②外から見られる位置に配置された席、③電源コンセントとWi-Fiのあるカフェという設備面の共通項から、セカンドプレイスの延長線にある点を考察した。併設型のスターバックスでは特に独立した空間を作ることが多く、空気やまとっている雰囲気から入店できる人を選別されるという意識錯覚を持つ役割を持っている。また、ガラス張りの壁に沿って個人利用席を配置する店舗が多く、外からでもスターバックスが持つ上品さやそこにいる人を見られるようにして、他者からの目線から「スターバックスで何かする」ということ自体のブランド化を述べた。そして、日米の双方の文献から、経済面・社会背景を比較し、共通点だった「女性が安心してタスクをこなせる場」という面がよりセカンドプレイスとしての役割を引き立てていると考えた。
第7章では独立型、本研究においては観光地内にあるスターバックスと観光客との関係性について述べた。観光地内にあるスターバックスの「休息所」としての側面や店舗構造から、観光客にとっての休憩を意味するありさまを考察した。新型コロナウイルスにより、観光はもとより、外出もできなくなった世の中で、個人的な経験だが、家の中でもスターバックスのような家庭や仕事から分断された一人の時間を作る逃避場を作ったことにも関係すると述べ、スターバックスが現代社会でのサードプレイスとしての場であることを考察した。
第8章で全体のまとめとして併設型と独立型で担う役割を大きくまとめた。立地する場所は違えども、日常と非日常を繋ぐ場としてスターバックスが社会的価値を発揮するとともに、そうした精神的な安心材料がスターバックスの提唱している現代のサードプレイスだと結論付ける。