准教授
ケイトリン・コーカー
COKER Caitlin Christine
- 研究室
- 文学部棟410
- coker(a)let.hokudai.ac.jp
- URL
身体の研究というと生物学などを思い浮かべる人が多いと思いますが、あえて身体にまつわることに人類学の研究方法と理論で肉薄しています。私にとってこれは、他者の身体を個別に計測することではなく、我々の身体を我々の日々の社会的な関係の中に飲み込まれた生を通して研究するということだと考えます。もともと人類学的な研究は人類学者が身をもって現地の人々と共に長い時間を過ごし、その中で現地の人々の身体がいかに動き、 相互作用をし、 気持ちや想像力を現し、存在感を生み出すかなどを自分自身の身体を通して理解しようとすることです。その後は、様々な現象を言語化して理論化を図りますが、その要は身体と身体経験だと考えます。
もちろん、ほかの人は何を感じるのかを身体で感じることや、身体で何を知るのかを完璧に理解することなどは不可能でしょうが、人類学の研究では、生きることに備わっている潜在的な可能性に自分自身を開くことで、自分自身の身体が他の人の身体的経験に共感を覚えて、その中で自分自身が生成変化をする調査のツールになります。このツールを通して見つけたものを文章で表現しますが、その仕方は際限ないほどだと言えます。それは、人類学は実証的な科学と同時に繊細な芸術で、その表現には既存の人類学に社会学や哲学、歴史、映画学など学際的なツールも動員される学問だからです。
私は上記への肉薄にあたって、暗黒舞踏という前衛的な踊り、またはエキゾチック・ダンスおよびポール・ダンスを研究対象にして、日本を拠点に調査をしています。
学生へのメッセージ
現代人類学は「遠い」や「近い」という概念を撹乱して、自らの周囲に未発見のものがつねに潜んでいると考える学問です。その研究成果の表現方法も、想像力の冒険だと考えます。ぜひ、未発見の世界と共に未発見の自分が開かれるように、文化人類学のゼミでご一緒にエスノグラフィーをしましょう。
主な業績
- 『暗黒舞踏の身体経験』京都大学学術出版会、2019年
- 『The Routledge companion to Butoh performance (Routledge companions)』(edited by Bruce Baird and Rosemary Candelario Caitlin Coker)(人間・環境学研究科 / 分担執筆) Routledge、2018年